映像の世紀とうたわれた20世紀を経て、なおいっそうその波にさらされている今日。せんだいメディアテーク開館10周年を機に、これまでさまざまな上映やパフォーマンスをおこなってきたスタジオシアターで、映像による表現と受容のこれからを探るシリーズ「ことばをこえて―映像の力」をお送りいたします。
今回は、一人ひとりの人間が“物語る”姿をとらえた作品たちによって、私たちが受けとめているはずの言葉と、その人の姿から立ち上がってくる言葉にならない何か、そしてその向こうにある世界を見つめ直します。


会期 2010年10月23日(土)―26日(火)
会場 せんだいメディアテーク7階スタジオシアター
入場料 1プログラム500円 各プログラムとも開場時に受付にて発売/開場は上映の30分前を予定/各回入替制
協力・作品提供 サイレントヴォイス、山形国際ドキュメンタリー映画祭、エデン、東京都写真美術館、恵比寿映像祭、リタピクチャル

[タイムテーブル]

A. 島の色 静かな声
B. 鳳鳴(フォンミン)―中国の記憶
C. ウィンター・ソルジャー―ベトナム帰還兵の告白
D. 包囲―デモクラシーとネオリベラリズムの罠
E. The Anchorage―投錨地
F. 死なない子供たち
    11:00   15:00   19:00
23日(土)   A +トーク    
24日(日)      
25日(月)      
26日(火)      

写真

監督:茂木綾子/2008年/75分/HDCAM/出演:石垣昭子、石垣金星

上映日:10月23日(土)11:00/25日(月)19:00

島の色 静かな声

Silent color Silent voice

沖縄の西表島でアトリエ「紅露工房」を営む染織作家の石垣昭子と、そのパートナーで三線奏者の石垣金星。ゆっくりと流れる島の時間の中、自然から生まれ自然へと還る人の暮らしと、素朴でたくましくどこかユーモラスな夫婦の語りと唄を、自身も夫婦である茂木綾子とヴェルナー・ベンツェルが映像で紡いでいく。

[トーク]

10月23日(土)11:00『島の色 静かな声』上映後

ゲスト:茂木綾子(『島の色 静かな声』監督)

1969年北海道生まれ。東京藝術大学デザイン科を経て、1997年よりミュンヘン、2005年よりスイスのラコルビエールに暮らし、2006年にはジュパジュカンパニーとしてアートプロジェクト「Laboratoire Village Nomade」の企画運営を務める。2009年より淡路島へ移住し、廃校を利用したアーティストコミュニティー「ノマド村」を立ち上げ、現在活動中。1992年にキヤノン写真新世紀で荒木惟経賞受賞。2007年童話写真集「どこにいるのシュヌッフェル?」四月社より出版。2009年よりギャラリーMISAKO&ROSENに所属。2010年雑誌コヨーテ誌上にて「caravan lost」を連載中。映像・映画作品に『IN THE COUCH』(1996年)、『風にきく』(2002年)、『島の色静かな声』(2009年)など。


写真

監督・脚本・撮影:王兵/2007年/183分/DVCAM/中国語(日本語字幕あり)

上映日:10月23日(土)15:00/25日(月)11:00

鳳鳴(フォンミン)―中国の記憶

鳳鳴

ソファに腰掛ける一人の老女が淡々と語り続ける物語。和鳳鳴(ホー・フォンミン)は新聞記者として働き、同じく記者である男性と結婚するが、夫の記事が原因で反革命分子と見なされ、強制収容所へ送られてしまう。夫や子ども、そして彼女自身の人生が、1950年代以降の中国の激動の歴史と重なって、ひとつの壮大な時代を浮かび上がらせる。監督は9時間の大作『鉄西区』(2003年)を撮った王兵(ワン・ビン)。


写真

製作:ウィンターフィルム 戦争に反対する
ベトナム帰還兵の会/1972年/95分/16ミリフィルム(DVCAM上映)/英語(日本語字幕あり)

上映日:10月23日(土)19:00/25日(月)15:00

ウィンター・ソルジャー―ベトナム帰還兵の告白

Winter Soldier

1960年、ベトナムの独立と統一をめぐり始まり、アメリカの介入により泥沼と化したベトナム戦争。マスコミがリアルタイムに戦場の様子を伝えたものとしても知られるが、ベトナム戦争帰還兵たちによる「ウィンター・ソルジャー公聴会」の様子を記録した本作は、その生々しい告白の衝撃のためか長らく黙殺されてきた。2005年にアメリカで再公開されたときには、イラク戦争版公聴会のきっかけともなった。


写真

監督:リシャール・ブルイエット/2008年/160分/DVCAM/英語、フランス語(日本語字幕あり)/出演:ノーム・チョムスキー、スーザン・ジョージ

上映日:10月24日(日)11:00/26日(火)15:00

包囲―デモクラシーとネオリベラリズムの罠

Encirclement – Neo-Liberalism Ensnares Democracy

アメリカを中心に世界の政治経済を支配しつつある新自由主義(ネオリベラリズム)。小さな政府と自由競争を唱う思想あるいはシステムが、はたして本当に民主的で自由なものなのか、アメリカ、カナダ、フランスの13人にわたる論者へのインタビューのみで批判的に考察する本作は、リーマン・ショック以降の世界についてのニュース解説を見るのとも政治経済の本を読むのとも異なる体験をもたらす。


写真

監督・編集・制作:カーティス・ウィンター、アンダース・エドストローム/撮影:アンダース・エドストローム/2009年/87分/35ミリフィルム/スウェーデン語(日本語字幕あり)/出演:ウラ・エドストローム、マーカス・ハーリング

上映日:10月24日(日)15:00/26日(火)19:00

The Anchorage―投錨地

The Anchorage

スウェーデンはストックホルムの小さな島に住むウラ(共同監督・撮影であるアンダースの母)の3日間の物語。劇中ほとんど言葉はなく、歩く、泳ぐ、あるいは、ただ佇むだけの彼女の姿をとらえた映像と、水辺のほとりの木々や波だけでなく、さまざまな生活音を緻密にとらえた音響が、単に美しい自然の描写を越え、たしかに映画でしか語り得ない物語のあり方を示す。


写真

監督:山岡信貴/2010年/80分/HDCAM/音楽:渋谷慶一郎/ナレーション:浅野忠信/出演:荒川修作、佐治晴夫、天命反転住宅の住人たち

上映日:10月24日(日)19:00/26日(火)11:00

死なない子供たち

Children who won’t die

2010年5月に亡くなったコーデノロジスト(哲学・芸術・科学を統合実践する者)荒川修作。代表作「意味のメカニズム」や、起伏の多さなどから怪我人も少なくないテーマパーク「養老天命反転地」に続きつくった住宅「三鷹天命反転住宅」。「この家で人は死なない」と力強く言う、生前の荒川秀作を映像で見ることができる。監督は自身も住人である山岡信貴。音楽は先鋭的な電子音響を手がけるATAK主宰の渋谷慶一郎。2


[バリアフリー・サービスについて]

◎音声解説・日本語字幕つき上映

音声解説とは登場人物の動きや風景などを音声で解説したもの、日本語字幕とは台詞をふくめ映画の中のさまざまな音を字幕にしたものです。それぞれ、メディアテークで養成・活動しているボランティアにより制作されています。音声解説を聞くには、当日イヤホン付きFMラジオをお持ちください。目の不自由な方には、無料で受信機を貸し出しますので、ご希望の方は前日までに電話022-713-4484へご連絡ください(先着30台)。耳の不自由な方向けに映画の音声を大きくして聞くための赤外線音声補助装置の貸出(先着20台・事前申込不要)もあります。

◎託児サービス

各日11:00の回には託児サービス(1歳半から未就学児・200円)があります。ご希望の方は、はがきか電子メール、FAXにて催し名、希望回、住所、氏名、電話番号、お子様のお名前、年齢(月齢まで)を記入し、10月13日(必着)までにメディアテーク託児担当までお申し込みください。

*やむをえず内容の変更、入場の制限をさせていただく場合がございますのでご了承ください。 *お申し込みいただきました個人情報は、当該事業及び関連事業の連絡やお知らせのみに使用いたします。

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