去る6月9日土曜日、現在開催中の「マクシムデュカン展−150年目の旅−」の関連事業として、
その著作『凡庸な芸術家の肖像−マクシム・デュ・カン論』(1989年 芸術選奨文部大臣賞)
で知られる蓮實重彦氏による講演会を開催しました。
タイトルは「マクシム・デュ・カンとその時代」と題して、19世紀半ばのフランス、パリの状況、
デュ・カンという人についてや、 それを取りまく人物群像など、
現代という時代とも比較しながら解説いただきました。
また講義の中では、当時のパリの町の様子や、
デュ・カン本人や友人のフロベールといった人たちのカリカチュア(風刺画)、写真など、
画像も含めたお話で大変わかりやすく、興味つきない内容でした。
集まった聴講者の方も蓮實先生のユーモアを交えての語り口に大変満足されていました。
蓮實重彦(はすみしげひこ)
1936年、東京生まれ。前東京大学総長。1965年、パリ大学大学院より博士号取得。
主著に『監督小津安二郎』(筑摩書房、1983年)。同書の仏訳はフランス映画批評家連盟文芸賞を受賞。
99年にはフランス政府「芸術文化勲章」を受賞。
その他の著書に『映画の神話学』(泰流社、1979年)、『映像の詩学』(筑摩書房、1979年)、
『シネマの記憶装置』(フィルムアート社、1979年)、『映画はいかにして死ぬか』(フィルムアート社、1985年)、
『映画 誘惑のエクリチュール』(ちくま文庫、1990年)、『ハリウッド映画史講義』(筑摩書房、1993年)、
『齟齬の誘惑』(東京大学出版会、1999年)など多数。