岩崎豪人氏は京都で大学の講師をしている傍ら、「昭和レトロ倶楽部」という昭和レトログッズ・レトロなおもちゃ・昭和レトロ食玩・懐かしアニメや特撮ものなどを販売するオンラインショップを経営している。もともと「昭和レトロ倶楽部」は京都で商品の仕入れを行い受注などを行っていたが、現在では、仕入の手配以外の大部分を岩崎氏の実家がある仙台で行っているという。
はじめに岩崎氏は現在のコンビニやインターネットなどの拡大による、昔ながらの文具店を取り巻く環境の変化と、その厳しさについて語られた。その変化は岩崎氏の実家である岩崎文具株式会社においても例外ではなく、それに伴い岩崎氏は経営を支えるために実家の文具店に関わるようになっていったという。
そのような中、岩崎氏はこれまでとは違った文具店を目指すため、文具だけではなく駄菓子や雑貨の販売も始めた。また、店舗だけでは売り上げが上がらないため、新たにオンラインショップを立ち上げ、ネット販売を本格化していった。岩崎氏はその際、昭和レトロに注目し、手頃な昭和レトロの多種多様な商品を取り扱うことで、見るだけでも楽しいショップを目指したと語った。またレクチャーは「昭和レトロ倶楽部」の実際のホームページを紹介しながら行われ、昭和レトロの情報局としての役割を果たしていることも示された。
「昭和レトロ倶楽部は、ツール的要素・懐かしいさ・おもちゃ感覚があわさって成功している」と桂氏は語る。現在、文具はインターネットで買う人も多く、文具屋に買いに行く人が減っている。そんな中で文具店に買いに行っていた、昔の時間感覚を取り戻そうという社会の動きから、昭和レトロ倶楽部は注目を浴びているのではないか、と桂氏は指摘した。さらには、現在の昭和レトロブームは、ウェブ上に蓄積された情報へのアクセスが容易となってきていることも起因し昭和レトロ倶楽部が注目を浴びているのではないかと分析された。
最後に岩崎氏は、今後、昭和レトロは日常的なものだけでなく、お祭りや映画制作などそれぞれ短期的に利用することでも、その価値が見出せると述べられた。そのように様々な活用方法がある岩崎氏の「昭和レトロ倶楽部」はまさに、今回のレクチャーの主題である、情報収集と発信の両方をうまく組み合わせたメディアの活用方法とその可能性を示すよい例であったといえる。
私自身、これまでミニコミ・フリーペーパーをあまり見たことがなかったが、今後書店や雑貨店に行った時には、ちょっとのぞいてみようと思う。
壹岐勇太郎(東北大学大学院情報科学研究科博士前期課程2年/smtインターンシップ生)